商売などをしている人の所得税は、納税者自らが自分の所得や税額を正しく計算し納付する自主申告納税制度になっており、そこで白色申告者にも毎日の取引を帳簿につけ保存しておくことが義務付けられています。
これに対して毎日の取引をきちんと記帳し、その帳簿に基づいて正確な所得や税額を申告する人には、所得の計算やその他の面で色々と有利な取扱を受けることができます。これが「青色申告制度」です。
事業所得(商工業・サービス業・農業・漁業などを営む人)、不動産所得(土地・建物など不動産の貸付により賃貸料等の収入を得ている人)、山林所得(山林を所有してこれにより収入を得ている人)がある人は、青色申告をすることができます。
不動産所得又は事業所得を生ずべき事業を営んでいる青色申告者で、これらの所得に係る取引を正規の簿記の原則、一般的には複式簿記により記帳し、その記帳に基づいて作成した貸借対照表を損益計算書とともに確定申告書に添付して確定申告期限内に提出している場合には、原則としてこれらの所得を通じて最高55万円を控除することとされています。(さらに、事前に必要な申請手続を済ませた上で、e-Taxによる電子申告または電子帳簿保存を行う場合、最高65万円を控除することができます。)
また、それ以外の青色申告者については、不動産所得、事業所得及び山林所得を通じて最高10万円を控除することとされています。
青色申告者と生計を一にしている配偶者やその他の親族のうち、年齢が15歳以上で、その青色申告者の事業に専ら従事している人に支払った給与は、事前に提出された届出書に記載された金額の範囲内で専従者の労務の対価として適正な金額であれば、必要経費に算入することができます。
なお、青色事業専従者として給与の支払を受ける人は、控除対象配偶者や扶養親族にはなれません。
事業所得を生ずべき事業を営む青色申告者で、その事業の遂行上生じた売掛金、貸付金などの貸金の貸倒れによる損失の見込額として、年末における貸金の帳簿価額の合計額の5.5%以下の金額を貸倒引当金勘定へ繰り入れたときは、その金額が必要経費として認められます。ただし、金融業の場合は 3.3%になります(一括評価)。
なお、貸金のうち、貸倒れその他これに類する一定の事由による損失の見込額については、それぞれの事由に応じた限度額までを、貸倒引当金勘定に繰り入れることができますが(個別評価)、その際必要経費に算入された金額の計算の基礎となった貸金は一括評価を行う帳簿価額の合計額から除かれます。
事業所得などに損失(赤字)の金額がある場合で、損益通算の規定を適用してもなお控除しきれない部分の金額(純損失の金額)が生じたときには、その損失額を翌年以後3年間にわたって繰り越して、各年分の所得金額から控除できます。
また、前年も青色申告をしている場合は、純損失の繰越しに代えて、その損失額を生じた年の前年に繰り戻して、前年分の所得税の還付を受けることもできます。その損失額を翌年以後3年間にわたって繰り越して、各年分の所得金額から控除できます。
青色申告承認申請書…青色申告をしようとする人は、「青色申告承認申請書」を税務署へ提出しなければなりません。青色申告の申請期限は、青色申告をしようとする年の3月15日までです。
※相続による事業承継をした場合は、書類裏面をご覧ください。
所得税の青色申告承認申請書(兼)現金主義の所得計算による旨の届出書はコチラ
青色専従者給与に関する届出書…事業専従者に給与を支給し、給与を必要経費に算入しようとする人は、「青色専従者給与に関する届出書」をその年の3月15日までに提出して下さい。
※本年の1月16日以後に開業した人や新たに専従者がいることになった人は、その開業の日や 専従者がいることとなった日から2ヶ月以内に税務署に提出してください。
青色申告は、毎日の取引を正確に記帳し、その帳簿に基づく正確な所得申告を行う人に認められる制度です。このため、次のような帳簿が最低限必要となります。
現金出納帳・経費帳・売掛帳・買掛帳など
なお、事業の規模が小さいときは、現金出納帳をつけるだけですむ「現金主義による所得計算」をすることができます。この場合は、あらかじめその旨の届出書を税務署に提出する必要があります。