社会保険制度のうち、健康保険・厚生年金の制度について紹介します。
健康保険とは、民間労働者の医療保険です。労働者とその被扶養者の業務外の傷病のほか、死亡、出産に関する保険給付を行います。
保険者は、平成20年10月1日に設立された全国健康保険協会(協会けんぽ)と健康保険組合(組合健保)の二つがあり、協会けんぽは主に中小企業を対象とし、健康保険組合は大企業で設立されています。
個人の事業所は任意適用事業所を除く一定の事業所の場合、常時5人以上の従業員が働いている場合に強制適用事業所となります。
法定16業種をいい、「工業、鉱業、エネルギー業、運送業、貸物荷役業、商店、金融保険業、保管賃貸業、媒介斡旋業、集金案内広告業、焼却・清掃・屠殺業、土木建築業、教育・研究・調査業、医療、通信報道事業、社会福祉・更生保護事業」を指します。
下記の事業所は、健康保険・厚生年金の加入が任意となります。
健康保険では、被保険者に扶養される者(被扶養者)も保険給付の対象になります。
※ただし、年間収入が130万円(60歳以上の者、又は一定の障害者は180万円)以上ある者については、被扶 養者になれません。
健康保険では、被保険者に扶養される者(被扶養者)も保険給付の対象になります。
報酬制により、賞与からも毎月の給与と同じように保険料を納めるようになりました。保険料の対象となる賞与の額は被保険者に支給される賞与の1,000円未満を切り捨てた額で、これを標準賞与額といいます。
上限 | 下限 | |
---|---|---|
健康保険 | 573万円/年間(※) | 1,000円 |
厚生年金保険 | 150万円/月間 | 1,000円 |
※4月1日から3月31日までの累計額となります。平成28年4月1日より、健康保険の累計額上限が引上げられました。
1及び2により標準報酬月額が決定しても、年の途中で賃金が大幅に変動することがあります。
このような場合には、次期の定時決定を待たずに標準報酬月額を改定します。
主な給付内容は以下の通りです。
納付の種類 | どんなときに |
---|---|
療養費 | 就職直後で保険証がない等、やむを得ず全額自己負担で受診したときや、治療上の必要からコルセット等の治療用装具を装着したときなど |
高額療養費 | 被保険者本人・被扶養者とも単独または、世帯合算で1ヶ月の窓口負担額が自己負担限度額を超えたとき |
傷病手当金 | 被保険者が療養のために会社を休み、専業主から給料を受けられないとき |
出産手当金 | 被保険者が出産のため会社を休み、事業主から給料を受けられないとき |
出産育児一時金 | 被保険者(被扶養者)が出産したとき |
埋葬料(費) | 被保険者(被扶養者)が亡くなったとき |
公的年金制度のうち、主として民間企業で働く会社員を対象としている年金制度を厚生年金保険といいます。厚生年金保険の保険者(保険料の徴収及び給付などを行う運営主体)は国(政府)です。
健康保険は、病気や怪我、出産など、労働能力を一時的に喪失した労働者に対する短期的な給付を行うのに対して、厚生年金保険は、老齢、死亡、障害などによって労働能力が永久的に喪失した者に対する長期的な給付を行います。
健康保険法の適用事業所は、同時に厚生年金保険の適用事業所でもあります。
健康保険の適用事業所はこちら。
保険料は、標準報酬月額及び標準賞与額に保険料率を乗じて得た額を労使が折半負担します。
厚生年金保険料率は、平成16年10月より毎年1000分の3.54ずつ引き上げられ、平成29年9月以降は1000分の183.00で固定とされています。(平成27年8月時点)。
適用期間 | 厚生年金保険料率 (一般被保険者) |
---|---|
平成23年9月分から 平成24年8月分まで | 1000分の164.12 |
平成24年9月分から 平成25年8月分まで | 1000分の167.66 |
平成25年9月分から 平成26年8月分まで | 1000分の171.2 |
平成26年9月分から 平成27年8月分まで | 1000分の174.74 |
平成27年9月分から 平成28年8月分まで | 1000分の178.28 |
平成28年9月分から 平成29年8月分まで | 1000分の181.82 |
平成29年9月分以降 | 1000分の183.00 |
※厚生年金保険の保険料率は、加入する厚生年金基金によって異なります。
加入されている厚生年金基金の免除保険料率に基づきお調べください。
主な給付内容は以下の通りです。
種類 | 支給条件 | 厚生年金 | 備考 |
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老齢年金 | 老後の生活を支えるため、一定の年齢になった場合に支給 | 老齢厚生年金 | 保険料納付期間と保険料免除期間を合算して25年以上が要件 |
障害年金 | 万一の病気や事故で障害の状態になった場合に支給 | 障害厚生年金 1級、2級、3級 障害手当金 |
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遺族年金 | 家計を支えていた人が亡くなった場合、遺族の方に支給 | 遺族厚生年金 |
※老齢厚生年金は、65歳からの支給開始となります。(保険料納付済期間25年以上)
※「特別支給の老齢厚生年金」については、こちらをご覧ください。
各種書式のダウンロードは、下記の全国健康保険協会ウェブサイトをご覧ください。